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(updated:'08/7/23)

 

 

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 わたしがヒーリングスクールに通いはじめ、2週に1度の定期的なセラピーセッションを義務付けられたとき、
「セラピーを受ける日常と、その成果を自己の癒しに統合させる」ということを難しいと感じていました。

 なぜならアメリカなら受けられるであろう質の高いセラピーは当時の日本(1996年くらいの話)にはほとんど存在していませんでしたし、
またセラピーセッションにおいて起こる「心理的転移(自分の問題を人にかぶせる)」やカウンセラーとの間の適切な「バウンダリ(自己の境界)」を保つという問題など、
心理セラピーを受ける事に関して全く知識のないままセッションを始めるしかありませんでした。
当時の状況を振返ると、さまざまな試行錯誤と多大なエネルギーのロスがあったことは事実です。

 しかしながら自己ヒーリングの道のりにカウンセリングやヒーリングセッションによるプロフェッショナルなサポートはかかせません。
そこで このようなサポートをできるだけ上手に受けることができるように、 わたしの経験から学んだ指針になると思われることを書きました。

  • 信頼と継続
  • ファンタジーをもってくれる人
  • セッションのテーマを決める
  • トランスファレンスを積極的に使う
  • 適切なバウンダリー
  • 時を待つ
  • 現実化へ
  •  

     


     

    信頼と継続

    どんな人間関係にも信頼と継続ということが大切なように、カウンセラー、ヒーラーといったセラピストととの関係においても この2点は非常に重要です。

    まず信頼の問題ですが、これはセラピストに実際に会ってみて、たぶん一瞬で相手が今の自分に必要な人かどうかわかると思います。もしそこまで確信がない場合は、「何かこの人とワークをすることが自分にとって意味がある」かもしれないと思う、もしくは何かよくわからないが「この人はいい人だな」とか「今の自分に必要なものを学べる」など、何か気持ちの良いサインを身体のどこかで感じられます。 頭でこの人は、経歴が臨床心理士だからとかと判断するより、身体のサインの方が正解という場合が多いと思います。 それが信頼関係を築く一番はじめの入り口です。

    わたしが一番感謝しているカウンセラーの方は、たぶん年令からいって臨床心理士はもっていないだろうと思われたおばあちゃまといった感じで、大学の心理相談室でお世話になっていました。セッションフィーも大学の相談室ならでは破格の2千円。当時のわたしには砂漠で水にありつけたがごとく、ありがたい出会いでした。でも、彼女とのセッションは、たぶんヒ−リングスクールではカウントされないタイプのものだったと思います。治療関係で大切だと思うのは、人と人はどんな関係でも肩書きではなく人格のめぐり会いだと思います。

    まあ、ヒ−リングスクールなどでは、スーパーバイズを受けるセラピストの資格をきちんと決めていて(一般 的に考えて非常に妥当な方法)、その縛りから適切な人とセッションできないという場合もありますが、その辺は、現実的に上手く調整してゆくしか方法がありません。

    信頼に足る相手が見つかったら、適切な治療契約を結ぶことが大切です。これからのセッションで、どんなワークをしてゆくのか、1回にかかる時間と費用、セッションの頻度などを決めることです。契約を結んだら、後はしばらく継続あるのみ。いいものでも継続しなければ効果 がでないのは、サプリメントや生活習慣と同じです。

    信じたらとにかく一定の間隔(最低2週に1回)で続けてみる、これが成功の秘けつです。ちなみに現在、ヒ−リングプラクティスを生業としているため、わたし自身1週間に1回はなんらかのサポートを受けています。ヒ−リングスクールの指定するスーパーバイザーとのセッションや日本語で話せるカウンセラー、ヒ−リングスクールの学生時代から縁のあるヒ−ラ−とのセッションなどです。お金はかかりますが、この問題はどこからかねん出するしか方法がなく、これも現実的に上手く調整してくださいとしかいいようがありません。ヒ−リングスクールでは、現実的に上手く調整することをアダルトエゴを働かせるという言い方をしてますね。

    セラピーワークというものは、自分の無意識の部分を多く扱うことになるので、通 常の自分の判断基準で考えられるのは、だいたい契約を結ぶあたりまでだと思った方がよいでしょう。 これからはしばらく自分という暗い洞くつの中を、セラピストに手をひかれながら1ヶ所1ヶ所、探検してゆくのです。「エーッ!ウソ」「わからない!?」「わたしは誰?」というような場面 に遭遇することもあると思います。命綱を握ってもらう相手だからこそ、私達は相手を信頼しなければ、この旅にでることはできないのです。はじめてこおいったセッションを受ける人ならば、 手ごたえは早くて3ヶ月〜半年で感じるようになります。

    もしこの段階で、変化や手ごたえがない場合には、方法の見直し(セッション頻度、ワークの内容、セラピスト事体を変えるかどうか)を再考することもあります。

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    ファンタジーをもってくれる人

    セラピストを選ぶ基準として大事な点がもう1つありました。あなたによいファンタジーを持ってくれる人を選ぶということです。
    ”よいファンタジーをもつ”ってどおいうことかというと、まだ表面には現れていないかもしれない、あなたの魂のエッセンスを見つけてくみ取ってくれ、それを何倍にもして反射して見せてくれる人が”あなたによいファンタジーをもってくれる人”です。

    もっとわかりやすく言えば、親がこの子は、芸術の才能があるから将来は絵書きにしようとか、とても頭がいいから医者にしようとか、まだたった3歳の子供に親が夢を描くようなことと似ています。親のファンタジーは、時に押し付けということがあるので注意が必要ですが、クライアントにとって適切なファンタジーは、魂のエッセンスが具現化してゆく必須栄養素です。

    わたしの場合、セラピストのスキルというよりも、このファンタジーのためにセラピストとの関係をつづけています。わたしが自分がわからなくなって、道に迷ったような気分になるときも支えてくれる灯台の明かりみたいな存在です。

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    セッションのテーマを決める

    セラピー・セッションを始めたばかりのころは、自分の問題のパターンがあまりよくわかっていないこともあって 、セッションのテーマがなかなか定まらないことが多いかもしれません。
    わたしには、前回はあの問題、今回は全然違う問題と、バッタのように問題があちこちに飛びまわり、自分を見つめれば見つめる程問題だらけ、何から手をつけていいかわからないという時期がありました。

    できればセラピーのテーマを決めて、今は「母との関係について」など、目的をもって臨むことができれば、問題解決への近道になります。セッションを受ける側の意図がクリアであればあるだけ、結果 もクリアなものが手に入ります。自分がブレていたりすると、そのセッションは何か今一つといった結果 になります。

    そのためには、これも日頃の努力が大切で、日記、夢を記録する、内省のための静かな時間(ガイダンスを受取る)をすごすといった方法で、セッションのテーマを絞り込んでセラピーにのぞみます。

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    トランスファレンス(心理的転移)を積極的に使う

    セラピストを信頼しセッションを進めてゆく過程で
    「何だか理由もなく彼(彼女)に腹が立つ。あんな奴の顔はもう見たくない!」
    「彼(彼女)によって裏切られた。こんなセッションやめてしまおう!」
    「よくわからないが理屈抜きに彼(彼女)のことが大好きになってしまった。だからわたしのことを愛しているって言って欲しい。」
    「彼(彼女)なら何でも自分の望みをかなえてくれるはずだ!だから夜中に電話しても大丈夫だろう。」
    「彼(彼女)に認めてもらえなければ生きてゆけない。」
    などなど・・自分の大人の意識からは想像もしなかったような、激しくある意味バカバカしいくらい大袈裟な感情がセラピストに対して芽生えてくるかもしれません。

    これは期が熟せばやがて訪れる心理的転移(transference)という現象です。セッションのなかでこのような現象が起こってきたら、それはチャンスが来たお知らせです。GOD BLESS YOU!

    自分が今まで気がついてなかった、自分のなかのもう1人の自分が目覚め、セッションを通 じて癒されるために、あなたの表層意識にやっとの思いで登ってきたのです。このちょっと大人の自分では考えられないような、ピュアで激しくやるせない感情(愛、憎しみ、尊敬、執着、怒り、不信感などなど)を現在の大人の自分に統合する時が来たのです。

    日常生活ではこのような感情は、恋愛や親子といった非常に親密な関係でないとおこってきません。セラピーセッションのなかでのこのような感情をバカバカしいとか、ありえないと恐れて自分で止めてしまうのは健康的な方法ではないのです。

    わたしの場合、BBSHで新しい学年になる度に、授業中 担任の先生が常に自分の視野のなかに入っていないと落ち着かないという現象が起りました。これは無邪気なインナーチャイルドの憧れが行動化したものでした。最初は、この切ない思いがづっと続いてしまったらどうしようとか・・、先生を好きになってしまったらどうしよう・・など、大人の自分ではありえないようなバカバカしい気持ちに正直とても戸惑いました。やがて「これは健康的な感情で時期がくれば憑き物が落ちたようになくなる」と先輩に教えてもらったことで、このような感情を感じることを自分に許せるようになったのです。足りなかったものが満ち足りたのでしょう、時とともにこのような感情は自然に消えていきました。

    優れたセラピストはこの感情転移をつかって、クライアントの癒しを安全に進めてゆく技術を持っています。
    あなたが激しい感情(愛着、憎悪、承認の渇望など)を表現しても、その感情がセラピストによって適切に受けとめられることが重要なポイントになります。 安全ということについて少し書いておきましょう。あなたがどのような感情を表現したとしても、セラピストと間違って恋愛に落ちたり、怒りや不信感を表現して批判されたり拒絶されないことがセラピーセッションにおける安全です。 あなたの感情が、適切に受け入れられることで、たぶん過去には両親によって満たされなかったニーズが満たされて、はじめて癒しのサイクルが一巡りするのです。

    また、よいセラピストとは、このような転移の感情を自分の本当の感情で返してくれる人たちです。このような繊細なやり取りのなかでは、真実しか通 用しません。だから彼らは、自分が引き受けられないクライアントには、はっきりNOというのです。これはとても大切なことなのです。相手が自分を偽って、受け入れてくれたとしても、最初は気持ちいいかもしれませんが、結果 としてクライアント側にまわった人間とセラピスト側の人間どちらもとても大きく傷つくことになるからです。

    この転移による感情を感じはじめるようになると、心理的に非常に辛い状態にしばらくとどまらなければいけなくなります。ときにはもとの普通 の心理状態に戻れなくなるのではと怖くなったりしますが、その心配は時が解決します。癒しのサイクルが完全に回りきれば、激しい感情は完全に自分に統合され、その時は、もうセラピストに対する感情転移は起こらなくなり、以前より成長した大人の自分に戻れるようになります。

    何度も何度も、このサイクルをくぐり抜けると、以前の自分からは想像もできない程の自由が手に入ります。セラピストに助けてもらって満たしていたニーズを、今度は自分だけの力で満たす事ができるようになるからです。こうやって本当の自分の力を取り戻す技術を学んで、親代わりをしてくれていたセラピストから自立して行くのです。 

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    適切なバウンダリー

    セラピストとクライアントの間では、適切なバウンダリー(自己と非 自己の境界線)が大切です。
    セラピストが自分の友人や家族だったりすること、夫婦もしくは親しい友人などと同じセラピストを共有することは望ましくない場合があります。なぜならセラピストと自分との関係が、他の人との間の関係と2重3重にダブルことは、バウンダリーに混乱をもたらすからです。

    セラピストと日常生活で会食したり遊びにいくことは、関係性の混乱を引き起こし、治療契約の破たんをもたらします。またセラピストと自分との関係を他の誰かとセラピストととの関係と比べることも、同様の意味で治療成果 に好ましくない影響をあたえます。

    望ましいモデルは、セラピストとクライアントだけというシンプルな関係性、セラピストと自分の関係は他の誰も知り得ない、またはセラピストと他の誰かとの関係も知らないというもの。セラピストとの関係は非日常のものであり、それ以外のものになることはありません。

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    時を待つ

    セラピーの過程(プロセス)の中で、「時」は重要な要素です。癒しの道のりは、いつも一定の速度で工場の生産ラインのように進むということはありません。プロセスは、有機的で時には非常なスピードで進んだかと思うときもあれば、今度は越えられないように思える壁が立ちはだかり道が閉ざされたように思えることもあり、意図的または無意識にゆっくりと遅くなったり早くなったりもします。普通 の意識を超えた、まさに神のみちびきとしかいいようのない流れ、とてもアーティスティックなものです。

    過程には必要な時間がかかることを受け入れてください。それは一瞬にしてまばゆい光の啓示を受けるような場合もあるだろうし、何年も何年もかけて地層のように積み重なった問題のさまざまな局面 を一枚づつ見ていくようなこともあるのです。過程の途中で起こる様々な事柄は、空中に投げられたパズルのピースが、ひとつひとつはまっていって、ある時一枚の絵になるような感じです。一枚の絵ができたと思ったら、またそれを壊して次の絵に取りかかりたくなるし、自然に次のテーマに目がゆくようになります。人生をとおしてこの繰り返しがつづき、振り返ると人間関係や自分の人生が全く変わってしまったことに後になって気がつきます。

    過程にかかる時間を決めるのは、望む結果を手にしたいという意図とそこにたどりつくために割く努力に左右されることは間違いありません。歩きつづけることが大切です。 また、望まなくてはいけないということ、小鳥の子供が親に口を大きく開けて餌をねだるように、結果 を欲しいと思うこともとても重要です。かといって欲しいものを手に入れるために、騒いだり血の出るような努力をする必要はありません。
    欲しいもの全部欲しいと静かに言っておいて、後はただ毎日やらなくちゃいけないことをコツコツとこなしてゆけばいいのです。その人の魂に必要なものは必ず手にできるチャンスがめぐってきます。チャンスがめぐってくるのを静かに待つこと、チャンスをチャンスと認識できる繊細さをもち続けること、チャンスが来たらその波に勇気をだしてのってみることです。もちろん偶然や失敗や失望も、その過程にはあることが自然です。意図を保ちつづけることで現実を変えていってください。

    道に迷ったら自分を導く存在にたずねて手をひいてもらいましょう。「わたしはどこへ行けばいいのですか?お導きください」と・・するとガイドは待ってましたとばかりに色々な方法で私達にコンタクトをとってきます。感覚をとぎすましてそれを受取り実行に移してください。 

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    現実化へ

    セラピーの体験は あくまで非日常でしかありません。大切なのは その体験を糧に現実の生活を変えてゆくことです。

    セラピーの安全な空間で体験したことは、個人のエネルギーフィールドのなかに過去の望ましくない経験を修正する疑似体験として残るのです。この疑似体験を使って現実の生活を変えることを試してみることが大切なのです。
    すぐに成果がでる場合とでない場合があるかもしれません、トライ&エラー、トライ&エラーで実践をつづけると、あるとき、ふと望むものが自分の手のなかにあったことに気がつきます。

    あんなに欲しい欲しいと大騒ぎしていたものが、実は自分のなかに大昔からずっとあったということに気付くと笑ってしまいます。

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